大阪・関西万博ラッピング列車レビュー~JRから私鉄まで~

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 2025年4月13日〜10月13日開催の大阪・関西万博に合わせ、関西一円で走る“万博ラッピング列車”を撮影しました。JRから私鉄、モノレールまで、各社のデザインの違い・走行区間・実写作例をまとめて紹介します。時刻や運行は日々変わるため、最新情報は公式をご確認ください。

1. 万博ラッピングとは?

 大阪・関西万博(2025年4月13日〜10月13日)の開催機運を高めるため、関西各社が列車外装に公式キャラクター「ミャクミャク」や公式デザインシステムをあしらった“万博ラッピング列車”を運行しています。対象はJR・私鉄・モノレールまで幅広く、関西の鉄道会社11社規模で関連コラボやグッズ企画も展開されています。

2. 各社・各編成レビュー

2.1 JR西日本 323系「大阪・関西万博ラッピング列車」

 大阪の毎日をぐるりと結ぶ大阪環状線と、USJへ向かうJRゆめ咲線。その主力・323系に特別デザインが施されたのが「万博ラッピング」です。白を基調にカラフルな意匠が走り抜ける様子は、日常の足でありながら非日常の高揚感。沿線利用者の日常に万博ムードを溶け込ませつつ、写真としても“狙いどころ”が明確な一本です。

ラッピングされているのは323系LS20編成です。運用は公開されていないので見れたらラッキーなラッピングトレインですね。

2.2 JR西日本 323系「JR WEST Parade Train」

 大阪・関西万博の来場動線を、ただの移動で終わらせない——その発想から生まれたのがJR WEST「Parade Train」。ベースは大阪環状線の323系です。万博デザインの外装に加えて、車内で映像コンテンツを展開するのが最大の特徴です。座っているだけで高まっていく“プレショー感”。駅に着く頃には、会場の熱量に自然とチューニングされているはず。

ラッピングされているのは323系LS12編成です。大阪環状線の他、新大阪・大阪エリアと湾岸側(桜島方面)を直結する臨時快速(愛称:EXPO Liner/エキスポライナー)として設定日ベースで運転されます。運転日・時刻は平日・土日で異なりますが、JR西日本の案内ページで充当列車が公開されています。なお、ラッピングされているのは片方の先頭車のみですので注意してください。

2.3 Osaka Metro 30000系

 大阪・関西万博の機運を街中で高めるため、Osaka Metroは御堂筋線・谷町線でラッピング列車を展開。駅や車内のいつもの風景に、ミャクミャクや万博カラーが加わって“イベントの始まり”を日常へ届けます。EVバスにも同テイストのラッピングが走っており、地下鉄とバスの両輪で街を彩るのが特徴です。

ラッピングされているのは御堂筋線30000系の31611編成、31613編成および31614編成と谷町線30000系の32603編成と32604編成です。運用は公開されていません。地上区間がある御堂筋線の方が撮影に向いているでしょう。

2.4 大阪モノレール 2000系「EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号」

 大阪・関西万博の公式デザインをまとい、万博記念公園を軸に大阪北部の空へ色を差す——それがEXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号。このラッピング列車は、2022年11月7日に運行を開始し、万博閉幕の2025年10月13日までの長期運転が発表されています(約3年間計画)。全国で最初に“万博オリジナルデザイン”を採用したラッピングとしても位置づけられています。

ラッピングされているのは14編成です。運用は大阪モノレール公式サイトで公開されています。また、「いのち輝く折り鶴列車」として2025年10月17日(金)まで運行予定されることが発表されています。「いのち輝く折り鶴列車」は、「認知症になっても輝けるまちをめざして、​認知症の人や高齢者が主役となって活躍できる場や活動を、多様な人や団体が繋がり合うことで創出し、そこで生まれる笑顔の輪を広げていくプロジェクト」である「ゆめ伴プロジェクト㏌門真実行委員会」の協力のもと運行されているとのことです。

2.5 近畿日本鉄道 9820系

 奈良線系統の主力形式9820系(シリーズ21)に、万博公式ビジュアルをまとわせた特別編成が走っています。ベースは通勤型でも、外装の存在感はイベント列車級。普段づかいの沿線でふっと“お祭りの色”に出会えるのが、この一本の魅力です。

ラッピング対象はEH28編成です。主に近鉄奈良駅~神戸三宮駅間で運用されています。残念ながら運用は公式サイトで公開されていません。しかし、鶴橋駅で待機していれば見られる可能性が高い印象です。ラッピング期間は2025年10月13日までの予定です。

2.6 近畿日本鉄道 5820系

 大阪線の主力通勤車・5820系(シリーズ21)に、万博公式ビジュアルをまとわせた特別編成が走っています。白地に多色パターン、公式キャラクター「ミャクミャク」のモチーフ——ふだんの通勤電車が、ホームに滑り込む瞬間だけ“イベント列車”になる。そんな日常×非日常の交差点が、この一本の魅力です。

ラッピングされている編成はDF52です。主に大阪上本町駅~伊勢中川駅間で運用されています。こちらも残念ながら公式サイトでは運用は公開されていません。本記事のなかで一番遭遇するのが難しい編成でした。ラッピング期間は2025年10月13日までの予定です。

2.7 近畿日本鉄道 1026系「Dialogue Train」

 大阪・関西万博のテーマ事業で映画作家・河瀬直美さんが手がけるシグネチャーパビリオン「Dialogue Theater – いのちのあかし –」のメインビジュアルを車体に展開したのが最大の特徴です。配色は“ひと目で分かる”明快なイエロー系で、沿線の風景に強い存在感を放ちます。万博のキーワードを毎日の足に落とし込んだ象徴的な一本。 イエローの車体に浮かぶ“吹き出し”を見つけたら、少しだけ周りの人や街の出来事に目を向けたくなる——そんな「やさしい促し」を乗せて走っています。

対象編成はVH28です。運用は公開されていませんが、主に近鉄奈良~神戸三宮で運行されているようです。2025年10月13日までの運行予定です。

2.8 京阪電鉄 8000系

 京阪本線の看板列車・8000系に、万博公式ビジュアルをまとった特別編成が走っています。プレミアムカー(6号車)を除く7両のみにラッピングを施すのがポイント。万博の色彩が乗った「祝祭×日常」の一本。7両ラッピング+プレミアムカー無ラッピングという編成差を活かし、停車カットやアウトカーブで“今だけの特急”を収めましょう。

ラッピング対象編成は8007編成です。主に京阪本線(淀屋橋~出町柳)で運用されています。運用は公開されていません。ラッピング期間は2025年10月13日の予定です。

2.9 京阪電鉄3000系

 京阪の現行フラッグシップのひとつ、3000系(コンフォート・サルーン)に万博デザインをまとわせた特別編成が走っています。対象は8両×1本で、6号車のプレミアムカーを除く7両のみがラッピング対象。運行は2024年1月20日開始、会期後もしばらくは撤去まで運転継続の方針が公表されています。端正で硬質な3000系の造形に、万博の多色グラフィックが重なることで“祝祭×日常”の対比が際立ちます。

ラッピング対象編成は3005編成です。8000系と同様、主に京阪本線(淀屋橋~出町柳)で運用されています。運用は公開されていません。しかし、ラッピング期間は2025年10月27日までの予定と発表されています。万博閉幕後もラッピングが楽しめそうですね。

2.10 神戸電鉄 6000系

 六甲の山あいを縫う神戸電鉄に、万博の色彩が加わりました。先頭・最後尾に大胆な外装ラッピングとミャクミャクのHM。中間車はドア横ステッカーでアクセントを加える構成です。色づかいは“いのち”を表す赤と青が基調で、神鉄は山や野を想起させるトーンを取り入れているのが特徴。山間路線の空気感とよく馴染みます。

ラッピングされているのは6001編成です。有馬線・三田線・粟生線、神戸高速線の各線で運用されています。運用は公式サイトで公開されており、2025年10月13日までの予定です。“山の私鉄×万博デザイン”の掛け合わせで、神戸電鉄らしい風景に祝祭の彩りがプラス。ヘッドマークと側面の表情を一枚に収めれば、記録性と“今だけ感”が両立します。

2.11 山陽電鉄 5030系

 山陽電鉄の主力通勤・直通特急用5030系(6連)に、万博公式キャラクター「ミャクミャク」などを配した特別ラッピングが登場。山陽姫路〜阪神大阪梅田を結ぶ直通特急・特急に充当されます。陽電鉄本線—神戸高速—阪神本線を一気通貫で走るため、海沿い〜都心高架〜ターミナルまで表情が大きく変わります。

ラッピングは5030編成に施されています。運用は山陽電鉄の公式サイトで公開されています。また、会期終了後、ラッピング撤去までの間は運行予定とのことです。

2.12 南海電鉄 5000系「ラピート」

 50000系1編成が、万博公式デザインシステム「Umi」をまとった特別仕様で運行中。2024年4月13日にスタートし、難波〜関西空港を結ぶ空港特急として活躍しています。海をモチーフにしたビジュアルが、湾岸の高架を抜ける景色と抜群に相性良し。丸窓の未来的フォルム×「Umi」の海色は、“空と海をつなぐ特急”にふさわしい装いです。停車中の正面+側面、海沿い高架のアウトカーブ——この2カットを押さえれば、記録も作品もバッチリ。

ラッピング対象は50101編成です。運用は公開されていませんが、現在位置は「南海アプリ」で確認することができます。運行期間は2025年10月13日まで。丸みを帯びた流線形ボディに、揺らぐ海のモチーフが溶け込みます。

2.13 能勢電鉄 7200系

 のせでんの毎日に“ミャクミャク色”が差し込まれた、7200系の特別ラッピング。万博公式キャラクターミャクミャクや公式ビジュアルを配した特別ラッピングが施され、2024年4月13日から運転が開始されています。川西能勢口—日生中央(日生線)を中心に設定。ふだんの通勤・通学ダイヤの中で自然に出会えるのが魅力です。

ラッピングされているのは7200編成です。運用は能勢電鉄の公式サイトで公開されています。2025年10月13日までの予定です。川西能勢口からの往復だけでも、沿線の色の切り替わりとラッピングの相性が味わえます。

2.14 阪急電鉄 1000系

 阪急の主力形式のひとつ1000系にも、万博ビジュアルをまとった特別編成が設定されています。運行開始は2023年11月30日(万博500日前)で、会期終了の2025年10月13日(予定)までの長期展開です。伝統のマルーンに、万博公式キャラクター「ミャクミャク」やロゴの多色グラフィックが重なる“上品な違和感”。

ラッピング対象は1007編成です。公式サイトで運用が確認できます。公式サイトでの「大阪・関西万博 ラッピング列車」の案内は2025年10月13日までとのことです。

2.15 阪急電鉄 1000系

 阪急の伝統色マルーンに、万博の多色モチーフと「ミャクミャク」を重ねた特別編成が宝塚線の1000系でも運転中です。直線基調の前面に曲線的なグラフィックが重なり、宝塚線らしい上質さ+祝祭感の両立に。

ラッピング対象は1009編成です。神戸線同様、公式サイトで運用が確認できます。

2.16 阪急電鉄 1300系

 阪急の現行主力・1300系のうち、京都線系統で1編成(8両)が万博デザインのラッピングをまとって運転中です。運行範囲は阪急京都線・千里線に加えて大阪メトロ堺筋線への直通区間まで広がります。伝統のマルーンに、万博公式キャラクターミャクミャクやロゴの多色グラフィックをレイヤー。全面白化ではなく“差し色”で魅せるのが阪急流です。

ラッピング対象は1313編成です。神戸線、宝塚線と同じく公式サイトで運用が公開されています。

2.17 阪神電鉄 1000系

 阪神の通勤主力1000系に、万博公式キャラクター「ミャクミャク」やロゴを配した特別ラッピングが施されています。運転線区は阪神本線・阪神なんば線をベースに、相互直通で近鉄奈良線方面や神戸高速線〜山陽電鉄線まで顔を出すのが持ち味です。本線系の快速急行・直通特急での運用が軸。大阪梅田—神戸三宮—山陽姫路方面や、大阪難波—近鉄奈良方面の直通列車に入ると広域で遭遇チャンスが生まれます。

ラッピング対象は1206編成です。運用は公開されていません。2025年10月13日までの運行予定です。

3. 関西以外におけるラッピング車両 213系

JR西日本の岡山エリアにて大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」などのデザインをラッピングした車両が運用されています。対象車両は213系のC-05編成です。山陽本線(東岡山~三原)、赤穂線(播州赤穂~東岡山)、伯備線(倉敷~新見)で運用とのことです。会期終了後、ラッピング撤去までの間は運行予定と公式サイトに明記されていますので、閉幕後も楽しめそうですね。

4. まとめ

 本記事では、万博を機に各社が走らせる“いまだけの編成”を、路線・形式・期間の観点から網羅しました。どの一本も、単なる装飾ではなく、地域の足と万博のストーリーをつなぐ公共交通のメッセージです。通勤・通学の途中でふと出会える驚き、遠方からの来訪者に向けた歓迎、沿線の街と企業の連携——そのすべてが、このラッピングに込められています。万博ラッピング列車は、「日常の足 × 祝祭の装い」が生む“今だけ”の被写体です。「日常の足×祝祭の装い」という一点で全編成がつながっているのです。


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